【背景・目的】
全世界で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチン接種が進む中、副反応として血小板減少を伴う血栓症が問題となっている。本疾患はvaccine-induced immune thrombotic thrombocytopenia(VITT)や血小板減少を伴う血栓症(Thrombosis with thrombocytopenia syndrome: TTS)と呼称され、その特徴は1) ワクチン接種後4-28日に発症する、2) 血栓症(脳静脈血栓症、内臓静脈血栓症など通常とは異なる部位に生じることが多い)、3) 血小板減少(中等度〜重症)、4) 凝固線溶系マーカー異常(D-dimer著増など)、5) 抗PF4抗体(ELISA法)が陽性となる、が挙げられる。
TTSの診断は1回目のワクチン接種後4-28日の期間に血小板減少を伴う血栓症を発症し、抗PF4抗体(ELISA法)が陽性を証明することで、機能的測定法(患者血清/血漿で健常者血小板が活性化するか判定する方法)が陽性であることを示すことも重要である。
本研究ではSARS-CoV-2ワクチン接種後に血小板減少を伴う血栓症または血小板減少症または血栓症を発症した患者検体を用いて抗PF4抗体の測定及び機能解析を行う。
【研究対象者及び適格性の基準】
(1)対象者
SARS-CoV-2ワクチン接種後(ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社)に①血小板減少を伴う血栓症、または②血小板減少症、または③血栓症、を発症した者を対象とする。
(2)選択基準
①包括同意取得時の年齢が12歳以上の者
②SARS-CoV-2ワクチン接種後の者
③本研究への参加にあたり十分な説明を受けた後、十分な理解の上、研究対象者本人の自由意思による同意が得られた者、もしくは研究の参加について拒否しない者
(3)除外基準
①2回目のSARS-CoV-2ワクチン接種後から2ヶ月以上が経過した者
②その他、研究責任者が研究対象者として不適当と判断した者
【必要な検体】
可能な限り治療前の血清及びクエン酸血漿を提出してください。
免疫グロブリン静注療法やステロイド、抗凝固療法などの治療後の検体でも測定は可能ですが、正確な結果が得られない可能性があります。
【症例の相談・登録方法】
上記に該当する症例に遭遇された方、上記に関連した病態のご相談は、まずは下記の連絡先に電子メールでご連絡ください。
北海道大学病院 検査・輸血部(事務局) 安本 篤史
電子メール:vitt-pf4@huhp.hokudai.ac.jp
※ 本研究は、2021年度AMED循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究事業(研究課題名:COVID-19感染による血栓症発症・増悪機転の解明と治療介入の可能性の解明、研究代表者:浦野哲盟)からの研究資金にて実施しています。