部会長: | 松本剛史 |
副部会長: | 長江千愛 酒井道生 |
部会員: | 天野景裕 大森 司 小倉妙美 金田 眞 嶋 緑倫 白幡 聡 鈴木伸明 瀧 正志 竹谷英之 武山雅博 徳川多津子 西田恭治 野上恵嗣 日笠 聡 福武勝幸 藤井輝久 堀越泰雄 松下 正 窓岩清治 |
近年、血友病および類縁疾患の医療状況は大幅な改善や進歩が見られています。一方で、臨床現場ではそれに見合った治療法の標準化やガイドラインが求められています。血友病標準化検討部会では随時、部会内でコンセンサスの得られた事項を、「医療指針」や「部会会告」の形で情報発信いたします。
定例会議を、以下の2回開催した。
第1回:2023年6月16日(金)北九州国際会議場で開催(現地参加のみ)
第2回:2024年2月18日(日)東京医科大学病院で開催(現地参加のみ)
上記会議以外で審議が必要となった事項等に関しては、メール上で適宜審議した
2023年度末をもって、堀越泰雄先生が本部会を退会された
a) 第18回SSCシンポジウム
2024年2月17日(土)に野村コンファレンスプラザ日本橋で開催した
敬称略
テーマ:血友病性関節症
座長:独立行政法人国立病院機構敦賀医療センター リハビリテーション科 竹谷英之
北九州安部山公園病院 酒井道生
1. 関節症に伴う疼痛の病態と治療戦略
神戸学院大学総合リハビリテーション学部、愛知医科大学医学部疼痛医学講座/疼痛緩和外科・いたみセンター 松原 貴子
2. AOZORA studyについて奈良県立医科大学 小児科 野上恵嗣
3. 血友病性関節症 statementについて
1) 診断と止血・疼痛管理
奈良県立医科大学リハビリテーション科 稲垣有佐
2) 評価と骨粗しょう症
荻窪病院 血液凝固科 長尾 梓
3) 整形外科的治療
東京大学医科学研究所附属病院 関節外科 大野久美子
4) リハビリとスポーツ
新王子病院 リハビリテーション科 牧野健一郎
b) ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果
◆「インヒビターのない血友病患者の止血治療ガイドライン」「インヒビター保有の先天性血友病患者の止血治療ガイドライン」:
ガイドライン策定委員会委員長の德川多津子先生を中心に、改定作業が進行中である
◆遺伝子治療に関する医学教育プロジェクト(ファイザー社からの研究費提供あり):
鈴木伸明先生を中心に、eラーニングシステム(視聴コンテンツ)が作成されており、本学会ホームページからアクセス可能である
なお、今後の遺伝子治療に関する全国的な診療体制構築に関しては、本部会の重要な使命と考える
◆血友病診療連携拠点病院での血友病患者のリハビリの現状調査:
竹谷英之先生を中心に、全国調査を継続中である。2023年度の調査結果がまとまり、本部会内で情報共有した
◆血友病の遺伝子治療の世界的動向に関して:
松下 正先生を中心に、本部会内で継続的に情報共有している
c) その他の活動
◆血友病患者レジストリー:
血友病診療連携委員会の活動として、血友病患者レジストリーのシステム構築が進行中である。本部会も、診療連携委員会と情報共有の上、協力体制である
◆HIV感染血友病患者の救急対応の課題解決のための研究:
厚生労働省の研究として、日笠 聡先生が代表研究者となり、2021年度から継続中である。本部会も、情報共有の上、協力体制である
◆血友病患者医療者連携懇談会への有志参加:
2023年2月18日(日)に開催された血友病患者医療者連携懇談会へ本部会の有志が参加した
◆竹谷英之先生が中心となり、小児用QOL調査票の日本語版が作成された
◆血友病の止血治療ガイドライン改訂作業を継続し、令和6年度中の完成を目指す
◆第19回SSCシンポジウムに血友病部会としてプログラム参画する
◆遺伝子治療に関する医学教育プロジェクトとして、eラーニングシステムを維持・継続する
◆血友病診療連携拠点病院での血友病患者のリハビリの現状調査を継続する
◆血友病診療連携委員会と協働して、血友病診療ブロック拠点病院、中核拠点病院を中心とした国内の血友病診療ネットワーク体制構築の推進を図り、血友病患者レジストリーのシステム構築に協力する
◆血友病患者医療者連携懇談会への有志参加を継続する
◆韓国、中国、台湾、日本が参加するEAHF2025が、2025年11月13(木)-15日(土)に奈良県で開催される。野上先生が主導であり、本部会も協力体制である
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文責 日本血栓止血学会 学術標準化委員会 血友病部会
部会長 松本剛史
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定例会議を、以下の2回開催した。
第1回:2022年6月24日(金)ハイブリッド開催
第2回:2023年2月12日(日)ハイブリッド開催
上記会議以外で審議が必要となった事項等に関しては、メール上で適宜審議した。
a) 第17回SSCシンポジウム
コロナ禍の影響で原則、リモート開催となった。
配信はLIVE/オンデマンドの併用で、LIVEは2023年2月18日(土)に開催した。
敬称略。
テーマ:後天性血友病治療の再考
座長:大阪医療センター 血友病科・感染症内科 西田恭治
宗像水光会総合病院 小児科 酒井道生
(1) 後天性血友病Aの治療アップデート
東京医科大学 臨床検査医学分野 備後真登
(2) エミシズマブの後天性血友病Aへの使用に関する文献レビュー
奈良県立医科大学 小児科 野上恵嗣
(3) 後天性血友病Aにおけるエミシズマブの臨床試験データ
名古屋大学 輸血部 鈴木伸明
(4) 免疫抑制療法が困難な症例におけるエミシズマブの使用
兵庫医科大学 呼吸器科・血液内科 日笠 聡
(5) 臨床応用における課題
宗像水光会総合病院 小児科 酒井道生
(6) バイクロットによる定期補充療法を選択する機会はあるのか?
広島大学 輸血部 山崎尚也
(7) 総合討論
b) ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果
◆「インヒビターのない血友病患者の止血治療ガイドライン」「インヒビター保有の先天性血友病患者の止血治療ガイドライン」:
ガイドライン策定委員会委員長の德川多津子先生を中心に、改定作業が進行中である。
◆遺伝子治療に関する医学教育プロジェクト(ファイザー社からの研究費提供あり):
鈴木伸明先生を中心に、eラーニングシステム(視聴コンテンツ)が作成された。本学会ホームページからアクセス可能である。
なお、今後の遺伝子治療に関する全国的な診療体制構築に関しては、本部会の重要な使命と考える。
◆血友病診療連携拠点病院での血友病患者のリハビリの現状調査:
竹谷英之先生を中心に、全国調査を継続中である。2022年度の調査結果がまとまり、本部会内で情報共有した。
◆血友病の遺伝子治療の世界的動向に関して:
松下 正先生を中心に、本部会内で継続的に情報共有している。
c) その他の活動
◆HJHS2.1マニュアルの日本語版作成:
竹谷先生を中心に、IPSG(International Prophylaxis Study Group)からの依頼で、HJHS2.1マニュアルの日本語版を作成した。登録手続き(web-site :http://ipsg.ca/hjhs-portal.)が必要であるが、研究目的であれば無料で利用可能である。
◆血友病患者レジストリー:
血友病診療連携委員会の活動として、血友病患者レジストリーのシステム構築が進行中である。本部会も、診療連携委員会と情報共有の上、協力体制である。
◆HIV感染血友病患者の救急対応の課題解決のための研究:
厚生労働省の研究として、日笠 聡先生が代表研究者となり、2021年度から継続中である。本部会も、情報共有の上、協力体制である。
◆血友病患者医療者連携懇談会への有志参加:
2023年2月12日(日)に開催された血友病患者医療者連携懇談会へ本部会の有志が参加した。
◆インヒビター保有血友病でのヘムライブラの定期補充療法に対する在宅注射療法:
上記に関して、本部会から提言し、本学会から厚労省へ申請し、認可された。
◆インヒビター保有血友病でのバイクロットの定期補充療法に対する在宅注射療法:
上記に関して、本部会から提言し、本学会から厚労省へ申請し、認可された。
◆「医薬品の適応外使用」の申請について:
後天性血友病Aに対するエンドキサンの適応拡大に関して、本部会から提言し、本学会から社会保険診療報酬支払基金の審査情報提供検討委員会に申請し、適応外使用が認可された。
◆血友病の止血治療ガイドライン改訂作業を継続し、令和5年度中の完成を目指す。
◆第18回SSCシンポジウムに血友病部会としてプログラム参画する。
◆遺伝子治療に関する医学教育プロジェクトとして、eラーニングシステムを維持・継続する。
◆血友病診療連携拠点病院での血友病患者のリハビリの現状調査を継続する。
◆血友病診療連携委員会と協働して、血友病診療ブロック拠点病院、中核拠点病院を中心とした国内の血友病診療ネットワーク体制構築の推進を図り、血友病患者レジストリーのシステム構築に協力する。
◆血友病患者医療者連携懇談会への有志参加を継続する。
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文責 日本血栓止血学会 学術標準化委員会 血友病部会
部会長 九州安部山公園病院 酒井 道生
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コロナ禍の影響で、対面での会議を開催できず、リモート会議を令和3年7月11日(日)に開催した。その会議以外で審議が必要となった事項等に関しては、メール上で適宜審議した。
a) 第16回SSCシンポジウム
◆コロナ禍の影響でリモート開催となった。「血友病に関する検査の意義と課題を見つめ直す」をテーマに、下記のプログラムで、LIVE/オンデマンド配信した。LIVE配信では質疑応答の時間を設けた。敬称略。
座長:酒井 道生(宗像水光会総合病院 小児科)
・軽症血友病患者を見逃さないために、APTT解釈の注意点を見直す
山﨑 哲(聖マリアンナ医科大学病院 臨床検査部)
・各種凝固因子製剤に対する適切な凝固因子活性測定法の選択
鈴木 敦夫(名古屋大学医学部附属病院 医療技術部 臨床検査部門)
・血友病遺伝子検査の歩みと現在
稲葉 浩(東京医科大学 臨床検査医学分野)
・実臨床における遺伝子検査の意義
矢田 弘史(国立病院機構大阪医療センター 血友病科)
野上 恵嗣(奈良県立医科大学 小児科)
・遺伝医療における課題と遺伝カウンセリング
三宅 秀彦(お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科ライフサイエンス専攻 遺伝カウンセリング/領域)>
b) ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果
◆「インヒビターのない血友病患者の止血治療ガイドライン」「インヒビター保有の先天性血友病患者の止血治療ガイドライン」:
ガイドライン策定委員会委員長の兵庫医科大学の德川多津子先生のもと、改定作業が進行中である。
◆遺伝子治療に関する医学教育プロジェクト(ファイザー社からの研究費提供あり):
名古屋大学 鈴木伸明先生を中心に、eラーニングシステムの作成を進めている。
◆関節手術後のリハビリの現状調査:
東大医科研 竹谷英之先生のもと、全国調査が開始された。
◆血友病の遺伝子治療の世界的動向に関して:
名古屋大学 松下 正先生から情報提供を頂き、部会内で情報共有した。
◆令和4年度診療報酬改定提案書(内保連)について:
既収載医療技術評価提案書として、「凝固因子活性検査:第VIII因子、第IX因子[合成基質法]」の増点の要望を提出したが、認可されなかった。
c) その他の活動
◆血友病診療連携委員会との連携
令和4年3月6日(日)にリモート開催された血友病患者医療者連携懇談会に有志が参加した。
◆血友病診療に関するeラーニング教育システムの構築:
血友病診療連携委員会に協力し、有志が作成に参画した。
◆血友病の止血治療ガイドライン改訂作業を継続し、令和4年度中の完成を目指す。
◆第17回SSCシンポジウムに血友病部会としてプログラム参画する。
◆遺伝子治療に関する医学教育プロジェクトとして、eラーニングシステムの作成を推進する。
◆日本検査血液学会(窓口:鹿児島大学 橋口照人先生)の協力を仰ぎ、APTTボーダー症例での軽症血友病患者を見逃しをなくすための対策を検討する。
◆血友病診療連携委員会と協働して、血友病診療ブロック拠点病院、中核拠点病院を中心とした国内の血友病診療ネットワーク体制構築の推進を図る。
◆血友病患者医療者連携懇談会への有志参加を継続する。
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文責 日本血栓止血学会 学術標準化委員会 血友病部会
部会長 宗像水光会総合病院小児科 酒井 道生
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コロナ禍の影響で、対面での会議を開催できず、リモート会議の開催機会もなく、審議事項等に関しては、すべてメール上で行った。
a) 第15回SSCシンポジウム
◆コロナ禍の影響でWEB開催となった。「血友病の遺伝子治療:臨床導入にあたっての問題点」と題して、下記のプログラムで、オンデマンド配信した。
緒言:藤井輝久(広島大学病院 輸血部)
・血友病に対する遺伝子治療の現状
大森 司(自治医科大学医学部 生化学講座病態生化学部門)
・遺伝子治療を行う上での注意点:規制や受け入れ準備について
久米晃啓(自治医科大学 臨床研究支援センター)
・遺伝子治療の薬価の特性-製造側の立場から-
木村正伸(タカラバイオ株式会社 臨床開発部門)
・患者は遺伝子治療をどう考えているのか
松本剛史(一般社団法人ヘモフィリア友の会全国ネットワーク/三重大学医学部附属病院 輸血・細胞治療部)
b) ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果
◆「インヒビターのない血友病患者の止血治療ガイドライン」「インヒビター保有の先天性血友病患者の止血治療ガイドライン」は、ガイドライン策定委員会委員長の兵庫医科大学の德川多津子先生のもと、改定作業が進行中である。
◆ヘムライブラ使用に関するエキスパートオピニオンとして、本学会誌2020年31巻第1号の93-104ページに、「血友病患者に対する止血治療ガイドライン:2019年補遺版 ヘムライブラ®(エミシズマブ)使用について」を掲載した。
◆ヘムライブラの適正使用を推進する目的で、「注意喚起:ヘムライブラ®皮下注の適正なバイアルの組み合わせについて」を、2020年2月に本学会誌とホームページ上に掲載した。
◆学会全体での活動であるが、「血友病・フォン・ヴィレブランド病を含めた凝固・線溶系、血小板の異常症により出血傾向を有する患者さんが新型コロナワクチン接種を受ける際の注意点」を作成し、本学会ホームページ上に掲載した。今後の実状の変化に対応して、必要時には適宜修正される予定である。
c) その他の活動
◆血友病診療連携委員会との連携
コロナ禍の影響で、全体会議は開催できなかったが、数名でのリモート会議を行い、血友病診療に関するeラーニングシステムの構築案について討議された。
◆令和4年度診療報酬改定提案書(内保連)について
既収載医療技術評価提案書として、「凝固因子活性検査:第VIII因子、第IX因子[合成基質法]」の増点の要望を提出した。
◆同月内での凝固因子製剤の外来処方と外来注射の両者算定の認可
これまで、外来での凝固因子製剤を含む血友病治療薬の注射と在宅自己注射分として当該薬を同月に処方すると、外来注射した治療薬の費用が査定されていた。それは「医科点数の解釈」のC101の附則(12)に記されているが、これは血友病診療の根幹に関わる問題であるため、この解釈は「血友病では除外」する要望書を2018年度に提出した。その後2020年度4月より「なお、緊急時に受診した場合の注射に係わる費用を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に緊急時の受診である旨を記載すること」が付記された。これにより、受診時に出血等でやむを得ず、院内で凝固因子製剤を注射し、かつ自己注射分として処方することが可能となった。
◆血友病の止血治療ガイドライン改訂作業を継続し、2021年度中の完成を目指す。
◆血友病診療連携委員会と協働して、血友病診療ブロック拠点病院、中核拠点病院を中心とした国内の血友病診療ネットワーク体制を構築する。
◆血友病診療連携委員会と連携し、血友病診療に関するeラーニング教育システムを構築する。
◆血友病に関連した多施設共同研究を開始する。
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文責 日本血栓止血学会 学術標準化委員会 血友病部会
部会長 宗像水光会総合病院 小児科 酒井 道生
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a) SSCシンポジウムの準備内容
◆「血友病の遺伝子治療:臨床導入にあたっての問題点」と題して、下記のプログラムで行う予定であった。
座長:藤井輝久(広島大学病院 輸血部)
・血友病に対する遺伝子治療の現状
大森 司(自治医科大学医学部 生化学講座病態生化学部門)
・遺伝子治療を行う上での注意点:規制や受け入れ準備について
久米晃啓(自治医科大学 臨床研究支援センター)
・遺伝子治療の薬価の特性-製造側の立場から-
木村正伸(タカラバイオ株式会社 遺伝子医療事業部門)
・患者は遺伝子治療をどう考えているのか
松本剛史(三重大学医学部附属病院 輸血・細胞治療部)
Covid-19感染拡大予防の観点より中止となったが、内容は示唆に富むものが多いため、次年度も同じテーマで行うことを計画している。
b)ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果
◆「インヒビターのない血友病患者の止血治療ガイドライン」「インヒビター保有の先天性血友病患者の止血治療ガイドライン」は、ガイドライン策定委員会に兵庫医科大学の德川多津子先生が就任し、Minds方式による改定草案を、分担して行うこととした。しかし、ヘムライブラ使用に関するエキスパートオピニンを出すことが優先されると判断されたため、一時中断となった。
◆「ヘムライブラ使用に関するエキスパートオピニン」については、2013年度に改定した現有の「インヒビターのない血友病患者の止血治療ガイドライン」「インヒビター保有の先天性血友病患者の止血治療ガイドライン」の補遺版として発表することが決まり、作成作業を行った。最終的な補遺版は、本学会誌2020年第1号に掲載された。
c)その他の活動
◆血友病診療連携委員会との連携
2019年6月2日、10月6日に「中央運営協議会」が開催され、部会のメンバーも参加した。その中で、久留米大学の松尾陽子先生が行う多施設共同臨床研究「血友病保因者の実態調査」について、部会メンバーの施設でもそれぞれ施設の倫理委員会にはかり、協力することとなった。
◆厚労省保険局への要望書について
①血友病患者の外来受診時における注射の取り扱いに関する要望について
外来での凝固因子製剤を含む血友病治療薬の注射と在宅自己注射分として当該薬を同月に処方すると、外来注射した治療薬の費用が査定されている現状がある。それは「医科点数の解釈」のC101の附則(12)に記されているが、これは血友病診療の根幹に関わる問題であるため、この解釈は「血友病では除外」する要望書を2018年度に提出した。その後2020年度4月より「なお、緊急時に受診した場合の注射に係わる費用を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に緊急時の受診である旨を記載すること」が付記された。これにより、受診時に出血等でやむを得ず、院内で凝固因子製剤を注射し、かつ自己注射分として処方することが可能となった。
*血友病部会会議
1)第1回会議
2019年6月1日 DAYS赤坂見附 会議室3B(東京)
◆血友病の止血治療ガイドライン改訂作業を再開し、2021年度中の完成を目指す。
◆血友病診療連携委員会と協働して、血友病診療ブロック拠点病院、中核拠点病院を中心とした国内の血友病診療ネットワーク体制を構築する。
◆血友病に関連した多施設共同研究を開始する。
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文責 日本血栓止血学会 学術標準化委員会 血友病部会
前部会長 広島大学 病院輸血部 藤井 輝久
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a)SSCシンポジウム
テーマ:今後の血友病診療を考える
第1部は、「血友病診療連携ネットワークの活動報告」で、座長は血友病診療連携委員会の委員長、白幡聡先生が務めた。天野景裕先生、羽藤高明先生、岡敏明先生より、それぞれの立場から活動報告があった。第2部は「Non-Factor therapyにおける凝固因子製剤の役割」で、藤井がまず概説を行った。その後、既に承認・使用されているエミシズマブについて、モニタリング法を野上恵司先生、使用中の出血時・手術時の対応について鈴木隆史先生、免疫寛容療法との併用について酒井道生先生、インヒビターのない患者における使用について長江千愛先生から、それぞれ報告があった。内容は治験のデータや既報の紹介が多く、エビデンスとして低いものであったが、インヒビターのない患者への適応拡大、14日間処方制限解禁などを迎えることを考慮すると、非専門医による乱用が危惧されるところであり、部会として早急に適正使用について発信する必要があると感じた。
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b)ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果
◆「インヒビターのない血友病患者の止血治療ガイドライン」「インヒビター保有の先天性血友病患者の止血治療ガイドライン」は、発行から5年が経過したため、2017年に改定することが決定した。今年度はガイドライン策定委員会が発足し、兵庫医科大学の德川多津子先生が委員長に就任した。前回までのガイドラインと違い、CQを作成後それについてのエビデンスを集積し、エキスパートによる意見によって推奨グレードを決定するMinds方式をとることになった。現在作成中である。
◆SSCを受けて、「ヘムライブラ使用に関するエキスパートオピニン」を出すことを理事会に上申したが、現有の「インヒビターのない血友病患者の止血治療ガイドライン」「インヒビター保有の先天性血友病患者の止血治療ガイドライン」の追補版として発表することとなった。
c)その他の活動
◆患者会との連携
医療従事者と患者団体との連携を図る目的で、2019年1月27日に「第16回 患者―医療者間の血友病診療連携についての懇談会」を開催した。前年グラスゴーで行われた「世界血友病連盟」総会にいて話題となった「血友病の遺伝子治療」や、本学会の「血友病診療連携委員会」の活動を中心に意見交換を行った。また、外来での凝固因子製剤輸注を行い、在宅自己注射として同製剤が同月に処方されると、外来での輸注分が査定されている現状があることについて、情報提供を行った。患者側は医療費補助制度により自己負担がないことから、実感がわかない印象であったが、病院側には損失となるため「血友病診療施設の減少に繋がる」ことを注意喚起したところ、患者会も厚労省へ要望書を出す動きとなった。
◆厚労省保険局へ要望書提出
以下の2つの要望書を作成し、厚労省保険局に提出した。
①乾燥濃縮人血液凝固第X因子加活性化第VII因子」バイクロット配合静注用の定期輸注に関する要望書
定期輸注が承認されているバイパス製剤はファイバのみであるが、インヒビター保有血友病B患者に使用した場合、FIXが存在するためインヒビター力価の上昇や重篤なアレルギー反応を起こす懸念がある。KMバイオロジクスはFIXがないバイクロットの定期輸注の治験を計画しており、部会としても「インヒビター保有血友病B患者に対する治療オプションが増える」ことから、これに賛同し、PMDAが速やかに治験を承認するよう厚労省保険局に要望書を提出した。その結果、治験を行うことは承認され、2019年1月には治験準備の会合が開かれた。
②血友病患者の外来受診時における注射の取り扱いに関する要望書
外来での凝固因子製剤を含む血友病治療薬の注射と在宅自己注射分として当該薬を同月に処方すると、外来注射した治療薬の費用が査定されている現状がある。それは「医科点数の解釈」のC101の附則(12)に記されているが、これは血友病診療の根幹に関わる問題であるため、この解釈は「血友病では除外」するよう要望書を提出した。(後に、健康局結核感染症課エイズ対策推進室の原澤さんより、“除外は困難”と情報提供有り。再度文面を変更して要望書提出を検討)
◆学会員、学会外血友病診療医に対する声明
外来での凝固因子製剤を含む血友病治療薬の注射と在宅自己注射分として当該薬を同月に処方すると、外来注射した治療薬の費用が査定されている現状を受けて、2019年1月に理事長と部会長の連名で注意喚起の声明を発表した。
*血友病部会会議
1)第1回会議
2018年6月2日 TKP品川カンファレンスセンターANNEX(東京)
2)第2回会議
2019年1月27日 東京医科大学病院 特別会議室(東京)
◆血友病の止血治療ガイドライン改訂作業を引き続き行う。
◆血友病診療連携委員会と協働して、血友病診療ブロック拠点病院、中核拠点病院を中心とした国内の血友病
診療ネットワーク体制を構築する。
◆新規薬剤“ヘムライブラ”について、現ガイドラインの追補版を作成する。
◆血友病に関連した多施設共同研究を開始する。
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*2019年度血友病部会会議の予定
1)第1回会議
2019年6月1日 DAYS赤坂見附 会議室3B(東京)
2)第2回会議
未定
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文責 日本血栓止血学会 学術標準化委員会 血友病部会
部会長 広島大学 病院輸血部 藤井 輝久
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a)SSCシンポジウム
テーマ:血友病及び止血異常症の診療の今後のあり方我が国の血友病診療の向上を目指して
第1部では、「後天性血友病A診療ガイドライン改訂について」でガイドライン作成委員会の酒井道生委員長より、概略の説明があり、引き続き各項目のポイントについて3人の部会員から説明があった。この改訂ガイドラインは2017年度中に発行の運びとなった。第2部の「合成基質法導入WG報告」では、スパイク検体を作成後多施設において、凝固一段法と合成基質法の検討が行われ、その結果が発表された。第3部では、「血友病診療連携ネットワークの構築」をテーマとした。この度、血友病診療連携委員会が学会で承認され、今後の取り組みについて白幡聡委員長から説明があった。北海道、東北、関東甲信越、東海北陸、近畿、中四国、九州ブロックのそれぞれで血友病診療の中核を担う「血友病診療ブロック拠点病院」が選定され、その後、各県で血友病診療の中心となる「血友病診療地域中核病院」が選定されることとなった。
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b)ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果
◆後天性血友病ガイドライン改定に関して
昨年度発足した「後天性血友病診療ガイドライン改定委員会」の活動により、「後天性血友病A診療ガイドライン2017年改訂版」が、学会誌28巻第6号に掲載された。その後、一部図の訂正等を経て、正式に印刷・発行となった。
◆「インヒビターのない血友病患者の止血治療ガイドライン」「インヒビター保有の先天性血友病患者の止血治療ガイドライン」は、発行から5年が経過したため、アップデートすることとした。2018年度にはガイドライン策定委員会が発足する予定。
c)その他の活動
◆患者会との連携
医療従事者と患者団体との連携を図る目的で、2018年1月18日に「第15回 患者―医療者間の血友病診療連携についての懇談会」を開催した。血友病Aの出血抑制に有効な新規抗体製剤「ヘムライブラ」や全国ヘモフィリアネットワーク(以下、ネットワーク)の活動状況等が情報提供された。また本年度発足した「血友病診療連携委員会」の運営委員会のメンバーとして、ネットワークの患者会員から2名選出することについて、患者団体の了承を得た。また、2年に1回行っているネットワーク主催の「ヘモフィリアフォーラム」を毎年行いたいといった発言があり、その際は部会として協力することにした。
この懇談会とは別に「血友病部会の医師との緊密な連携」が、患者団体より要望されており、都合2回、広島と東京で部会員と患者団体代表者とのミーティングが行われた。その中で、今後協働して、「血友病患者の登録制度」を構築していくことで一致した。
◆厚労省血液対策課へ要望書提出
以下の2つの要望書を作成し、厚労省に提出した。
①ヘムライブラの在宅自己注射承認の要望書
血友病に対する止血治療薬は、在宅自己注射が保険適用となっているが、新規抗体製剤であるヘムライブラは、全く別のタイプの薬剤のため在宅自己注射が承認されるか不明であった。そのため2017年12月に厚労省保険局に対して、理事会の承認を得て要望書を提出した。その後、嶋理事長、松下理事、野上部会員と共に修正した要望書を再提出した。結果在宅自己注射薬として承認された(2018年5月)。
②ヘムライブラの2週間処方制限の解除の要望書
ヘムライブラは、週1回在宅自己注射が認められるものの新規薬剤であり、発売から1年間は2週間処方制限となることが予想された。そうなると、当該治験に参加した患者は、現在の3ヶ月に1回から2週間に1回の通院になり、使用継続の障害となるため、「治験参加患者のみ」2週間処方制限を解除するよう、2018年3月に厚労省保険局に要望書を提出した。(しかし、最終的には認められなかった)
◆血友病診療連携委員会との協働
血友病診療連携委員会が立ち上がったが、まだ運営委員会も開かれていない状況であるため、少なくとも2018年度は、協働して中核拠点病院の選定や患者団体とのミーティングなどに参画していくこととした。
*血友病部会会議
1)第1回会議
2017年4月22日 リファレンス新有楽町ビル 貸し会議室(東京)
2)第2回会議
2017年6月10日 AP名古屋.名駅 6F Oルーム(名古屋)
3)第3回会議
2017年10月1日 ホテルグランヴィア広島 安芸・宮島(広島)
4)第4回会議
2018年1月18日 東京医科大学病院 特別会議室(東京)
◆血友病の止血治療ガイドライン改訂作業を行う。
◆日本血友病診療施設連携協議会と協働して、血友病診療ブロック拠点病院、中核拠点病院を中心としたネットワーク体制を構築する。
◆VWD/TMA部会が作成予定である「VWD診療ガイドライン」に協力する。
◆血友病に関連した多施設共同研究を開始する。
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*平成30年度血友病部会会議の予定
1)第1回会議
2018年6月1日 TKP品川カンファレンスセンターANNEX(東京)
2)第2回会議
2018年9月30日 グランドハイアット福岡(福岡)
3)第3回会議
2018年1月27日 東京医科大学病院(東京)
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文責 日本血栓止血学会 学術標準化委員会 血友病部会
部会長 広島大学 病院輸血部 藤井 輝久
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a)SSCシンポジウム
テーマ:我が国の血友病診療の向上を目指して
第1部では、「進化する関節評価法〜ADL向上を目指して」で主に血友病性関節症に関する最近の知見や試みられている評価法について、2人の学会外の医師よりご講演いただいた。評価法については、今後標準化され主な診療施設では導入されるものと思われる。第2部では、「より正確な止血機能の測定のために〜合成基質法導入WGから」をテーマに、後述するWGの活動報告があった。最後に現在の様々な測定法のうちどれが最も適しているか、知見を含めて紹介があった。
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b)ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果
◆血友病診療関連ガイドラインの補遺版について
2016年は補遺版を作成せず、2018年に大改訂を行うこととした。但し、新規治療薬が次々に上市されていることを踏まえ、学会HPに現在使用できる製剤一覧表をアップデートすることとした。
◆後天性血友病ガイドライン改定に関して
酒井部会員を委員長とした「後天性血友病診療ガイドライン改定委員会」が発足した。部会内委員を中心に改定案が作成されメール稟議された。その後部会外委員に対してメール稟議を行い、いくつかの修正点を踏まえて改定案が作成された。早ければ6月の理事会に提出して承認を頂く予定。
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c)その他の活動
◆患者会との連携
医療従事者と患者団体との連携を図る目的で、2017年2月26日に「第14回 患者―医療者間の血友病診療連携についての懇談会」を開催した。
患者側より、一昨年の化血研の凝固医に製剤出荷停止問題や、昨年のバイエル製品自主回収問題の件を踏まえ、速やかにかつ正確な情報を医療者より発信してほしいとの要望があった。それを受けて、現在行われているロシュ社の治験中の重篤な有害事象について、速やかに情報提供を行った。
◆厚労省血液対策課へ要望書提出
本邦のVWD患者にVWFを補充して止血治療を行うには化血研製造のコンファクトFしかない現状が続いている。一昨年に起きた化血研の問題により、「製剤不足」不安が起きているため、国に対して新規VWF含有製剤の早期導入に関する要望書を作成し、提出した。
◆HCV治療薬ソフォスブビル+リバビリン併用療法24週に関する要望に関して
昨年日本肝臓学会から、上記要望に関して日本血栓止血学会も連名してもらえないかという依頼があり、要望書に連名し提出した。2017年2月にソフォスビル製造会社のギリヤド社から再度依頼があり、日本血栓止血学会として再度働きかけた。成果として2017年4月より、上記治療が保険収載された。
◆血友病センター化に向けた取り組み
血友病センターとしての施設基準設定や血友病診療関連診療報酬改訂のために、平成28年度内保連への申請書を作成して内保連へ提出したが、採択されなかった。今後は、下記の通り、まず部会内に、患者をメンバーとして入れた日本血友病診療施設連携協議会を設置した形で継続して取り組むこととした。
◆血友病診療連携ネットワーク構築のためのワーキンググループ結成
血液製剤機構の研究班の報告書「我が国における血友病診療連携体制構築へ向けての提言」を受けて、その後のロードマップ作成のために部会でワーキンググループ(WG)が結成された。2017年1月14日のWGでは、部会の中に「日本血友病診療施設連携協議会」を作り、メンバーに部会員以外の看護師や患者会メンバーを入れる方針が確認された。
◆凝固因子活性測定の合成基質法導入ワーキンググループの活動
本学会の研究助成をいただき、それに伴い現在多施設で検討を行うためのスパイク検体の作成を行っている。それまでの成果はSSCにて発表があった。
*血友病部会会議
1)第1回会議
2016年7月10日 ANAクラウンプラザホテル神戸(神戸)
2)第2回会議
2016年10月3日 AP大阪駅前梅田1丁目(大阪)
3)第3回会議
2017年2月26日 東京医科大学病院(東京)
◆血友病診療関連ガイドライン改訂のための準備を開始する。
◆後天性血友病診療ガイドライン改訂版を作成し、血栓止血学会誌に公表する。
◆日本血友病診療施設連携協議会を発足させる。
◆TTP/VWF部会が作成予定である「VWD診療ガイドライン」に協力する。
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*次年度血友病部会会議の予定
1)第1回会議
2017年4月22日 リファレンス新有楽町ビル貸し会議室(東京)
2)第2回会議
2017年9月30日 広島ホテルグランヴィア(広島)
3)第3回会議
2018年1月or 2月 東京医科大学病院(東京)
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文責 日本血栓止血学会 学術標準化委員会 血友病部会
部会長 広島大学 病院輸血部 藤井 輝久
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a)SSCシンポジウムの内容
テーマ:血友病保因者のケアを考える
第1部では、血友病保因者のケアのための以下の基礎的事項について知識を共有した。血友病保因者診断の検査の意義、保因者健診の概念と普及、保因者の心理的支援のポイント。第2部では、現在作成中の血友病周産期管理指針2015年(案)について、「産科医の立場から」と「小児科医の立場から」紹介した。
第3部では、血友病の保因者ケアのための診療ガイドライン作成に向けてのパネルディスカッションが行われた。
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b)その他の活動
◆14日処方制限に関する意見書提出(内閣府へ)
内閣府ではすべての薬剤に関して、14日処方制限撤廃の方向で動いているため、各学会などから要望・意見があれば内閣府に提出してほしいという話があり、血友病部会で意見書を作成し、血栓止血学会として内閣府に提出した。
◆化血研問題に対する対応
2015年6月に起こった化血研の凝固因子製剤出荷停止問題に関して、情報整理、血友病診療従事者への情報周知など各種の対応を行った。
◆HCV治療薬ソフォスブビル+リバビリン併用療法24週に関する要望に関して
日本肝臓学会から、上記要望に関して日本血栓止血学会も連名してもらえないかという依頼があり、理事会にメール審議を諮っていただいた。メール審議で承認が得られたため、一般社団法人 日本血栓止血学会 理事長 尾崎 由基男とHCV Genotype 3に対するSofosbuvir/Ribavirin併用療法24週間適応に賛同する血友病診療従事者有志(天野景裕以下血友病部会員20名)の形で要望書に連名した。
◆血友病センター化に向けた取り組み
血友病センターとしての施設基準設定や血友病診療関連診療報酬改訂のために、平成28年度内保連への申請書を作成して、血栓止血学会理事長の了承を得て、内保連へ提出された。内保連からのヒアリングに対応した。
◆第6回EAHF(East Asia Hemophilia Forum)について
2015年11月13日(金)~15日(日)日本血栓止血学会SSC主催で行う活動として、奈良県東大寺文化センターにて開催された。参加者は216人で大盛況であり、運営は予算内で収まった。海外の参加者からは、お褒めの言葉をいただいた。
◆患者会との連携
医療従事者と患者団体との連携を図る目的で、2016年1月24日に「第13回 患者―医療者間の血友病診療連携についての懇談会」を開催した。
◆凝固因子活性測定の合成基質法導入ワーキンググループの組織
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c)ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果
◆血友病診療関連ガイドラインの補遺版の発表
2015年補遺版を準備し、理事会承認の後、血栓止血学会誌2016年1号に掲載となった。
◆免疫寛容導入療法(ITI)に関して
血液製剤調査機構の研究班として日本におけるITIの実態調査が承認されており、血友病部会員が班長・班員となっている。現在二次調査が進行している。今後、その調査の結果を受けて、血友病部会としてはガイドラインにそのデータを反映していくこととなる。
◆血友病診療連携ネットワーク構築の研究班
血友病診療における地域医療機関との連携ネットワーク構築について血液製剤調査機構の研究班が承認され血友病部会員が班長・班員となっている。最終報告書が「我が国における血友病診療連携体制構築へ向けての提言」としてまとめられた。
◆血友病関連の周産期管理について
日本産婦人科・新生児血液学会と合同で血友病周産期管理指針案を作成した。今回のシンポジウムでの討議を受けて、本部会でさらに検討を行う予定である。
◆血友病診療関連ガイドラインの2016年補遺版の作成を行う。
◆後天性血友病診療ガイドライン改訂のための準備を開始する。
◆「我が国における血友病診療連携体制構築へ向けての提言」を受けて、血友病部会として診療体制構築のためのワーキンググループを組織して準備を開始する。
◆血友病周産期管理指針案について
2015年度のシンポジウムでの討議を受けての検討を行い、血栓止血学会誌にて公表する。
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血友病部会会議
1)第1回会議
2015年5月22日 甲府市総合市民会館(山梨)
2)第2回会議
2015年10月3日 シェラトン都ホテル東京(東京)
3)第3回会議
2016年1月24日 東京医科大学病院(東京)
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文責 日本血栓止血学会 学術標準化委員会 血友病部会
部会長 東京医科大学 臨床検査医学分野 天野 景裕
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第9回日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウム
2015年2月28日に開催された第9回日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウムに「長時間作用型凝固因子製剤をどう使うか?」をテーマに参加した。各製剤メーカーにそれぞれの製剤の特徴を紹介いただき、情報共有の後、内科の立場と小児科の立場からの問題提起、モニタリングの問題点などの発表を行い、今後のガイドライン作成への有意義なディスカッションが行われた。
◆血友病診療関連ガイドラインの補遺版の発表
毎年年末をめどに、補遺版をだすことになり、2014年補遺版を準備し、理事会承認の後、血栓止血学会誌2015年1号に掲載となった。
◆免疫寛容導入療法(ITI)に関して
血液製剤調査機構の研究班として日本におけるITIの実態調査が承認されており、血友病部会員が班長・班員となっている。現在二次調査が進行している。今後、その調査の結果を受けて、血友病部会としてはガイドラインにそのデータを反映していくこととなる。
2009年から血友病センター整備案について議論・検討を重ねてきた。
【血友病センター化体制構築作業小部会】
この小部会にて、今後、血友病センターの施設認定をどのように行うべきか検討している。血友病センターとしての施設基準や血友病診療関連診療報酬改訂のための平成28年度内保連への申請書を作成して、2014/11/26に担当理事へ提出した。血栓止血学会理事長の了承を得て、内保連へ提出された。
【血友病診療連携ネットワーク構築の研究班】
血友病診療における地域医療機関との連携ネットワーク構築について血液製剤調査機構の研究班が承認され血友病部会員が班長・班員となっている。最終報告書のまとめに入っており、今後、その結果を受けて、血友病部会として活動を反映していく予定である。
血友病治療製剤全般の取り扱いについて、診療がスムーズに行われ、患者の利益が損なわれないようにするために、早期承認や保険適応に関して要望書を作成し厚生労働省に提出した。FEIBA適応追加、バイクロット、オルプロリクス承認に関する、意見聴取に関する対応を行った。
患者様と医療者との血友病診療連携についての懇談会
医療従事者と患者団体との連携を図る目的で、2015年3月1日に「患者様と医療者との血友病診療連携についての懇談会」を開催した。
2015年11月13日(金)~15日(日)奈良県東大寺文化センターにて開催予定。
事務局は奈良医大が担当する。日本血栓止血学会SSC主催で行う活動として承認いただき、血友病部会として開催準備中である。
日本産婦人科・新生児血液学会へ血友病関連周産期管理についての整備依頼を行っており、当部会のワーキンググループと合同で診療ガイドを作成するための会議を行い、現在作成中である。今後、答申を受けて、本部会でさらに検討を行う予定である。
1)第1回会議
2014年5月29日 大阪国際交流センター(大阪)
2)第2回会議
2014年9月28日 ホテルニューオータニ大阪(大阪)
3)第3回会議
2015年3月1日 東京医科大学病院(東京)
文責 日本血栓止血学会 学術標準化委員会 血友病部会
部会長 東京医科大学 臨床検査医学分野 天野 景裕
天野景裕(部会長) | 東京医科大学 臨床検査医学分野 教授 | |
岡 敏明 | 札幌徳洲会病院 小児科部長 | |
酒井道生 | 宗像水光会総合病院 小児科 部長 | |
嶋 緑倫 | 奈良県立医科大学 小児科 教授 | |
白幡 聡 | 北九州八幡東病院 院長 | |
瀧 正志(副部会長) | 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 小児科 教授 | |
竹谷英之 | 東京大学医科学研究所附属病院 関節外科講師 | |
西田恭治 | 国立病院機構 大阪医療センター 感染症内科 | |
野上恵嗣 | 奈良県立医科大学 小児科 准教授 | |
花房秀次 | 荻窪病院 理事長、内科・小児科部長 | |
日笠 聡 | 兵庫医科大学 血液内科 講師 | |
福武勝幸 | 東京医科大学 臨床検査医学分野 主任教授 | |
藤井輝久(副部会長) | 広島大学 輸血部 准教授 | |
堀越泰雄 | 静岡県立こども病院 血液腫瘍科医長、輸血管理室 室長 | |
松下 正 | 名古屋大学医学部附属病院 輸血部 教授 | |
松本剛史 | 三重大学医学部附属病院 輸血部・血液内科 | |
窓岩清治 | 自治医科大学 分子病態研究部、附属病院血液内科 |
第7回日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウム
平成26年2月22日に開催された第8回日本血栓止血学会学術標準化委員会シンポジウムに「わが国の血友病診療 -グローバリゼーションに向けて-」をテーマに参加した。 World Federation of Haemophilia (WFH)のVice-president である Dr. Alok Srivastava をゲストスピーカーに迎えて有意義なディスカッションが行われた。
◆血友病診療関係ガイドラインの改定
・平成25年1月26日の理事会にてガイドライン作成委員会が正式に発足した。ガイドライン作成委員会と血友病部会が連携して、ガイドラインをブラッシュアップした。
・ガイドラインのタイトルを止血治療ガイドラインとして統一し、以下の二つに変更して、改定作業を行った。
「インヒビターのない血友病患者の止血治療ガイドライン:2013年改訂版」
「インヒビター保有先天性血友病患者に対する止血治療ガイドライン:2013年改訂版」
・平成26年9月26日の理事会にて承認され、日本血栓止血学会誌2013年第6号に発表した。
・別刷りをガイドラインとして学会から販売している。
◆免疫寛容導入療法(ITI)に関して
血液製剤調査機構の研究班として日本におけるITIの実態調査が承認されており、血友病部会員が班長・班員となっている。今後、その調査の結果を受けて、血友病部会としてはガイドラインにそのデータを反映していくこととなる。
平成21年から血友病センター整備案について議論・検討を重ねてきた。
【血友病センター化体制構築作業小部会】
この小部会にて、今後、血友病センターの施設認定をどのように行うべきかを血栓止血学会と恊働で検討するための準備を行っている。血友病センターとしての施設基準や血友病診療関連診療報酬改定のための平成26年度内保連への申請書を作成して、平成25年5月30日の理事会にて審議をお願いしたが、今後の検討事項となった。
【血友病診療連携ネットワーク構築の研究班】
血友病診療における地域医療機関との連携ネットワーク構築について血液製剤調査機構の研究班が承認され血友病部会員が班長・班員となっている。今後、その検討の結果を受けて、血友病部会として活動を反映していくこととなる。
化血研のMC710やバクスターのFEIBAなどの血友病インヒビター製剤に関して、診療がスムーズに行われ、患者の利益が損なわれないようにするために、早期承認や保険適応に関して要望書を作成し厚生労働省に提出した。
患者様と医療者との血友病診療連携についての懇談会
医療従事者と患者団体との連携を図る目的で、平成26年1月13日に「患者様と医療者との血友病診療連携についての懇談会」を開催した。
1)第1回会議
平成25年5月30日 山形国際ホテル(山形)
2)第2回会議
平成25年10月6日 ANA クラウンプラザホテルグランコート(名古屋)
3)第3回会議
平成26年1月13日 東京医科大学病院(東京)
天野景裕(部会長) | 東京医科大学 臨床検査医学分野 教授 | |
岡 敏明 | 札幌徳洲会病院 小児科部長 | |
酒井道生 | 宗像水光会総合病院 小児科 部長 | |
嶋 緑倫 | 奈良県立医科大学 小児科 教授 | |
白幡 聡 | 北九州八幡東病院 院長 | |
瀧 正志(副部会長) | 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 小児科 教授 | |
竹谷英之 | 東京大学医科学研究所附属病院 関節外科講師 | |
西田恭治 | 国立病院機構 大阪医療センター 感染症内科 | |
野上恵嗣 | 奈良県立医科大学 小児科 准教授 | |
花房秀次 | 荻窪病院 理事長、内科・小児科部長 | |
日笠 聡 | 兵庫医科大学 血液内科 講師 | |
福武勝幸 | 東京医科大学 臨床検査医学分野 主任教授 | |
藤井輝久(副部会長) | 広島大学 輸血部 准教授 | |
堀越泰雄 | 静岡県立こども病院 血液腫瘍科医長、輸血管理室 室長 | |
松下 正 | 名古屋大学医学部附属病院 輸血部 教授 | |
松本剛史 | 三重大学医学部附属病院 輸血部・血液内科 | |
窓岩清治 | 自治医科大学 分子病態研究部、附属病院輸血内科 |
天野景裕(副部会長) | 東京医科大学 臨床検査医学講座准教授 | |
岡 敏明 | 札幌徳州会病院 小児科・血液科部長 | |
酒井道生 | 産業医科大学 小児科助教 | |
嶋 緑倫 | 奈良県立医科大学 小児科教授 | |
白幡 聡 | 北九州八幡東病院 院長 | |
瀧 正志(副部会長) | 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 小児科教授 | |
竹谷英之 | 東京大学医科学研究所附属病院 関節外科講師 | |
田中一郎(部会長) | 奈良県立医科大学 小児科准教授 | |
花房秀次 | 荻窪病院 理事長、小児科・血液科部長 | |
日笠 聡 | 兵庫医科大学 血液内科講師 | |
福武 勝幸 | 東京医科大学 臨床検査医学講座主任教授 | |
藤井輝久 | 広島大学病院 輸血部准教授 | |
堀越泰雄 | 静岡県立こども病院 血液腫瘍科医長 | |
松下 正 | 名古屋大学医学部附属病院 輸血部教授 | |
松本剛史 | 三重大学医学部附属病院輸血部・血液内科 | |
三室 淳 | 自治医科大学分子病態治療研究センター 分病態研究部准教授 | |
吉岡 章 | 奈良県立医科大学 理事長・学長 |
天野景裕(副部会長) | 東京医科大学 臨床検査医学講座准教授 | |
岡 敏明 | 札幌徳州会病院 小児科・血液科部長 | |
酒井道生 | 産業医科大学 小児科助教 | |
嶋 緑倫 | 奈良県立医科大学 小児科教授 | |
白幡 聡 | 北九州八幡東病院 院長 | |
瀧 正志(副部会長) | 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 小児科教授 | |
竹谷英之 | 東京大学医科学研究所附属病院 関節外科講師 | |
田中一郎(部会長) | 奈良県立医科大学 小児科准教授 | |
花房秀次 | 荻窪病院 理事長、小児科・血液科部長 | |
日笠 聡 | 兵庫医科大学 血液内科講師 | |
福武 勝幸 | 東京医科大学 臨床検査医学講座主任教授 | |
藤井輝久 | 広島大学病院 輸血部准教授 | |
堀越泰雄 | 静岡県立こども病院 血液腫瘍科医長 | |
松下 正 | 名古屋大学医学部附属病院 輸血部教授 | |
松本剛史 | 三重大学医学部附属病院輸血部・血液内科 | |
三室 淳 | 自治医科大学分子病態治療研究センター 分病態研究部准教授 | |
吉岡 章 | 奈良県立医科大学 理事長・学長 |
天野景裕(副部会長) | 東京医科大学 臨床検査医学講座准教授 | |
岡 敏明 | 札幌徳州会病院 小児科・血液科部長 | |
酒井道生 | 産業医科大学 小児科助教 | |
嶋 緑倫 | 奈良県立医科大学 小児科教授 | |
白幡 聡 | 北九州総合病院 副院長 | |
高田 昇 | 広島大学病院 輸血部准教授 | |
高松純樹 | 愛知県赤十字血液センター 所長 | |
瀧 正志(副部会長) | 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 小児科教授 | |
竹谷英之 | 東京大学医科学研究所附属病院 関節外科講師 | |
田中一郎(部会長) | 奈良県立医科大学 小児科准教授 | |
花房秀次 | 荻窪病院 小児科・血液科部長 | |
日笠 聡 | 兵庫医科大学 血液内科講師 | |
福武 勝幸(診療連携幹事) | 東京医科大学 臨床検査医学講座主任教授 | |
藤井輝久 | 広島大学病院 輸血部講師 | |
堀越泰雄 | 静岡県立こども病院 血液腫瘍科 | |
松下 正 | 名古屋大学医学部附属病院 輸血部教授 | |
松本剛史 | 三重大学医学部附属病院輸血部・血液内科 | |
三室 淳 | 自治医科大学分子病態治療研究センター 分病態研究部准教授 | |
吉岡 章 | 奈良県立医科大学 理事長・学長 |
本研究班では、平成19年より厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)をうけまして、『血友病における第VIII因子、第IX因子製剤のインヒビター発生要因に関する研究』を行って参りました。平成19年度からの3年間では、多くの先生方のご協力のお蔭で、本邦においては、血漿由来製剤と遺伝子組み換え製剤におけるインヒビター発生の差はないとの結論を得ることができ、更に家族歴がインヒビターに大きく寄与していることが示唆されました。
平成22年度からは厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策研究事業)「血友病とその治療に伴う合併症の克服に関する研究」坂田班分担研究の一つとして継続し、平成27年度からは国立研究法人 日本医療研究開発機構 感染症実用化研究事業 エイズ対策実用化研究事業「血友病とその治療に伴う種々の合併症克服に関する研究」(坂田班分担研究)【第Ⅷ、第Ⅸ因子製剤のインヒビター発生要因に関する研究】として実施して参ります。本研究班では、遺伝子検査研究「第VIII因子、第IX因子、サイトカイン遺伝子異常に関する研究」とJ-HIS2「新規血友病患者のデータベース構築によるコホート研究」により得られる臨床情報を合わせて、nation-wideなデータベースを構築しインヒビター発生要因の解明を進めております。
現在、J-HIS2は42施設から256名が登録されております。(平成27年3月末現在)。
遺伝子検査研究におきましては、37施設から276例の検体が集まっており、解析作業を進めております。研究期間も平成30年3月まで延長致しましたので、是非ともご協力頂けますよう宜しくお願い申し上げます。
血友病保因者は、通常出血症状はみられないが、一部、中等度-軽症血友病のフェノタイプを呈する。かかる場合、女性血友病とみなされるが、周産期を含めて全生涯における止血治療の指針は確立されていない。さらに、出血傾向のない保因者における男児分娩に関する指針もない。そこで、血友病保因者に関するガイドラインの作成を開始する。本プロジェクトにあたっては、産婦人科領域の専門医と共同で実施する予定である。
【日本血栓止血学会学術標準化委員会血友病部会 部会員】
天野 景裕(副部会長) | 東京医科大学 臨床検査医学講座講師 | |
岡 敏明 | 札幌徳州会病院 小児科・血液科部長 | |
嶋 緑倫(部会長) | 奈良県立医科大学 小児科准教授 | |
白幡 聡 | 産業医科大学 小児科教授 | |
高田 昇 | 広島大学病院 輸血部准教授 | |
高松 純樹 | 名古屋大学医学部附属病院 輸血部教授 | |
瀧 正志(副部会長) | 聖マリアンナ医科大学横浜西部病院 小児科・周産期センター 准教授 | |
竹谷 英之 | 東京大学医科学研究所付属病院 関節外科講師 | |
花房 秀次 | 荻窪病院 小児科・血液科部長 | |
日笠 聡 | 兵庫医科大学 血液内科講師 | |
福武 勝幸(診療連携幹事) | 東京医科大学 臨床検査医学講座主任教授 | |
松下 正 | 名古屋大学医学部附属病院 血液内科講師 | |
三間屋 純一 | 静岡県立こども病院 血液腫瘍科 副院長兼医療安全室長 | |
吉岡 章(担当理事) | 奈良県立医科大学 小児科教授 |
2007年2月に慶應義塾大学医学部にて実施された日本血栓止血学会学術標準化委員会(SSC)シンポジウムにおいて、瀧 正志(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院)・福武勝幸(東京医科大学)を座長とし、「後天性血友病の診断と治療」のテーマで下記のシンポジウムを開催した。
1)本邦における後天性凝固因子インヒビターの前方視的調査 | |
田中一郎(奈良県立医科大学小児科) | |
2)岡山近隣で経験した後天性血友病症例の臨床病態 | |
新谷憲治(笠岡市立市民病院内科) | |
3)後天性血友病の診断 | |
天野景裕(東京医科大学臨床検査医学講座) | |
4)後天性血友病の凝血学的特性 | |
嶋 緑倫(奈良県立医科大学小児科) | |
5)後天性血友病の診断と治療-抗リン脂質抗体症候群との鑑別- | |
山崎雅英[金沢大学大学院医学系研究科細胞移植学(血液内科)] | |
「追加発言」 | |
トロンビン生成に対する抗第?ヲ因子抗体と抗リン脂質抗体の相違 | |
山崎 哲(聖マリアンナ医科大学病院臨床検査部), 瀧 正志(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院小児科) |
|
6)後天性血友病におけるリツキサンの役割 | |
毛利 博(藤枝市立総合病院血液内科) 田邊寿一(藤枝市立総合病院血液内科) 村田 興(同 化学療法科) 立花宗孝(静岡日本赤十字病院血液内科) 田口 淳(静岡日本赤十字病院血液内科) |
天野 景裕(副部会長) | 東京医科大学 臨床検査医学講座講師 | |
岡 敏明 | 札幌徳州会病院 小児科・血液科部長 | |
嶋 緑倫(部会長) | 奈良県立医科大学 小児科准教授 | |
白幡 聡 | 産業医科大学 小児科教授 | |
高田 昇 | 広島大学病院 輸血部准教授 | |
高松 純樹 | 名古屋大学医学部附属病院 輸血部教授 | |
瀧 正志(副部会長) | 聖マリアンナ医科大学横浜西部病院 小児科・周産期センター 准教授 | |
竹谷 英之 | 東京大学医科学研究所付属病院 関節外科講師 | |
花房 秀次 | 荻窪病院 小児科・血液科部長 | |
日笠 聡 | 兵庫医科大学 血液内科講師 | |
福武 勝幸(診療連携幹事) | 東京医科大学 臨床検査医学講座主任教授 | |
松下 正 | 名古屋大学医学部附属病院 血液内科講師 | |
三間屋 純一 | 静岡県立こども病院 血液腫瘍科 副院長兼医療安全室長 | |
吉岡 章(担当理事) | 奈良県立医科大学 小児科教授 |
2007年2月に慶應義塾大学医学部にて実施された日本血栓止血学会学術標準化委員会(SSC)シンポジウムにおいて、瀧 正志(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院)・福武勝幸(東京医科大学)を座長とし、「後天性血友病の診断と治療」のテーマで下記のシンポジウムを開催した。
1)本邦における後天性凝固因子インヒビターの前方視的調査 | |
田中一郎(奈良県立医科大学小児科) | |
2)岡山近隣で経験した後天性血友病症例の臨床病態 | |
新谷憲治(笠岡市立市民病院内科) | |
3)後天性血友病の診断 | |
天野景裕(東京医科大学臨床検査医学講座) | |
4)後天性血友病の凝血学的特性 | |
嶋 緑倫(奈良県立医科大学小児科) | |
5)後天性血友病の診断と治療-抗リン脂質抗体症候群との鑑別- | |
山崎雅英[金沢大学大学院医学系研究科細胞移植学(血液内科)] | |
「追加発言」 | |
トロンビン生成に対する抗第?ヲ因子抗体と抗リン脂質抗体の相違 | |
山崎 哲(聖マリアンナ医科大学病院臨床検査部), 瀧 正志(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院小児科) |
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6)後天性血友病におけるリツキサンの役割 | |
毛利 博(藤枝市立総合病院血液内科) 田邊寿一(藤枝市立総合病院血液内科) 村田 興(同 化学療法科) 立花宗孝(静岡日本赤十字病院血液内科) 田口 淳(静岡日本赤十字病院血液内科) |
天野 景裕(副部会長) | 東京医科大学 臨床検査医学講座講師 | |
岡 敏明 | 札幌徳州会病院 小児科・血液科部長 | |
嶋 緑倫(部会長) | 奈良県立医科大学 小児科准教授 | |
白幡 聡 | 産業医科大学 小児科教授 | |
高田 昇 | 広島大学病院 輸血部准教授 | |
高松 純樹 | 名古屋大学医学部附属病院 輸血部教授 | |
瀧 正志(副部会長) | 聖マリアンナ医科大学横浜西部病院 小児科・周産期センター 准教授 | |
竹谷 英之 | 東京大学医科学研究所付属病院 関節外科講師 | |
花房 秀次 | 荻窪病院 小児科・血液科部長 | |
日笠 聡 | 兵庫医科大学 血液内科講師 | |
福武 勝幸(診療連携幹事) | 東京医科大学 臨床検査医学講座主任教授 | |
松下 正 | 名古屋大学医学部附属病院 血液内科講師 | |
三間屋 純一 | 静岡県立こども病院 血液腫瘍科 副院長兼医療安全室長 | |
吉岡 章(担当理事) | 奈良県立医科大学 小児科教授 |
2004年4月16日に、福岡ソフトリサーチパークにて血友病標準化検討部会会議を開催し、以下の議題につき報告・審議された。
議題: | 1) ITIの現況に関して 2) 血友病診療費の包括評価(DPC)の問題と今後の対策 3) 最近の血友病診療報酬の査定状況について 4) IFN自己注射の方向性 5) ファイバの適応外使用における特定療養費扱いについて 6) プロプレックスSTの供給不足問題 7) BeneFIXの臨床開発の動向 8) クリスマシン-Mの現況 9)本年度のコンセンサスシンポジウムの内容に関して |
インヒビター保有血友病のバイパス止血治療には、(活性型)プロトロンビン複合体製剤に加え、遺伝子組み換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)が用いられている。近年、FVIIaを中心に新しい止血機序が提唱され、臨床モニターとしても、より有用な検査パラメーターが開発されてきた。臨床実地においては、インヒビター保有症例の大手術における止血管理の経験が蓄積されてきた。他方では、rFVIIaの一般的止血効果が着目され、血友病以外の出血性疾患をはじめ、外傷、外科手術などの止血管理への利用が模索され始めている。第27回日本血栓止血学会学術集会において「バイパス止血治療の展望」と題して血友病検討部会コンセンサスシンポジウムを開催した。本シンポジウムにおいて、基礎的、臨床的側面から活性型凝固因子製剤が展望され、最新の治療現況が紹介された。
【日時・場所】平成16年11月18日(木)午後3:30~5:00、奈良県新公会堂
【座 長】産業医科大学小児科 白幡 聡教授
【シンポジウムの概容】
1) | 活性型凝固因子の止血機序:友清和彦(化学及血清療法研究所) FVIIaは、TF依存性の外因系凝固機転の開始以外に、高濃度ではTF非依存性に活性化血小板膜上で直接第X因子を活性化する。また、高濃度のFVIIaは余剰の第X因子の存在下でトロンビン生成能をさらに促進させる。一方で、FVIIaは第Va因子の存在下に、酸性リン脂質上で新しいプロトロンビナーゼ複合体を形成しトロンビンを生成する。これらのFVIIaの凝固系における多機能性が論じられた。 |
2) | バイパス止血治療の新しい臨床モニター:嶋 緑倫(奈良県立医科大学小児科) rFVIIaの止血治療モニターとしては、血漿第VII因子活性の10 U/ml以上の上昇やPTの8秒以下の短縮などが一般に用いられている。しかし、これらの指標は臨床的止血効果が十分に反映されないことがある。演者らは、自動血液凝固解析装置を用いたフィブリン生成過程の精密な数学的解析により、APCCやrFVIIa投与中の止血能を解析した。また、従来のトロンボエラストグラム(TEG)の利便性を向上させてデータのコンピューター解析を可能にした機器(RoTEM)を利用し、同様に、バイパス止血治療中の止血モニターとしての有用性を検討した。これらの新しい指標とトロンビン生成能などとの関連から、臨床モニターとしての有用性が論じられた。 |
3) | バイパス止血製剤による整形外科手術の止血管理:竹谷英之(国立病院機構福井病院 リハビリテーション科) インヒビター保有血友病患者の大手術の止血管理は大きな難関とされてきた。演者は、近年経験した整形外科手術におけるバイパス止血製剤を用いた止血管理の成績を通して、インヒビター保有血友病症例の外科手術の普及の可能性を論じた。 |
4) | 救命医療におけるrFVIIaの止血効果:野田真理子、太田祥一、三島史朗、行岡哲男(東京医科大学救急医学) rFVIIaは、大きな外傷の救命治療における一般的止血剤としても期待がもたれている。骨盤骨折に伴う腸骨動脈出血に対しては一般的に経動脈カテーテルによりエンボリゼーションによる止血を行う。本症例では、その代わりに末梢静脈からrFVIIaが投与された。講演では、rFVIIa投与後の止血過程が動脈造影画像により提示された。 |
日本血栓止血学会
血友病検討部会
新井 盛夫※1 | 東京医科大学 臨床検査医学客員助教授 | |
嶋 緑倫(幹事) | 奈良県立医科大学 小児科助教授 | |
白幡 聡※2 | 産業医科大学 小児科教授 | |
高田 昇 | 広島大学 輸血部助教授 | |
高松 純樹 | 名古屋大学 輸血部教授 | |
瀧 正志(幹事) | 聖マリアンナ医科大学 小児科助教授 | |
花房 秀次 | 荻窪病院 小児科部長 | |
日笠 聡 | 兵庫医科大学 総合内科 | |
福武 勝幸(診療連携幹事) | 東京医科大学 臨床検査医学教授 | |
三間屋 純一 | 静岡県立こども病院 血液腫瘍科科長 | |
吉岡 章(ITI小委員長) | 奈良県立医科大学 小児科教授 |
※1部会長就任期間:2004年4月1日~2004年10月31日
※2部会長就任期間:2004年11月1日~2005年3月31日
新井盛夫は、2004年10月31日付けで東京医科大学を辞し、11月1日よりノボノルディスクファーマ(株)のノボセブン臨床開発部長に就任した。11月1日付けで、吉岡章教授(血友病検討部会担当理事)より、2004年11月1日から2005年3月31日までの期間の部会長は白幡聡教授に委嘱された。
血友病検討部会では、平成17年3月20日(日)午前10時から午後4時まで、東京医科大学病院本館6階の第2第3会議室において、『第2回患者様と医療者との血友病診療連携についての懇談会』を開催した。参加者は全国の患者会関係者33名、医療関係者13名であった。
午前10時から 「開会の挨拶」を産業医科大学の白幡聡教授が行い、続いて、血友病検討部会からの話題提供として、東京医科大学の福武勝幸が司会を務め、1)血友病患者数の動向(瀧正志)2)最近の血友病の治療薬の動向(白幡聡)3)定期補充療法(瀧正志)4)インヒビターと治療 全般(嶋緑倫)、ITI(吉岡章)5)HIV感染症の治療(花房秀次)6)HCV慢性肝炎の治療(福武勝幸)7)血友病医療事情について(三間屋純一)8)専門医の役割・連絡体制の整備(高田昇)9)患者様と製薬会社との関係、その他(福武勝幸)について、各テーマ5分間程度のプレゼンテーションを行った。
午前11時から、患者と専門部会の二つに分かれ、患者懇談会は第2第3会議室、専門部会は特別会議室にて各々の話し合いの時間を設けた。午後1時からの昼食を挟み、そのまま続いて、午後1時30分より第2第3会議室にて合同懇談会を行った。患者さんに司会をお願いし、次のような仮のテーマをもとに質疑を行った。1)各地域の血友病医療のために、「いわゆる専門医」にしてもらいたいことがあるか。例えば、各地域で定期的に専門医と懇談する場を作る(実際には各地で行われているかもしれない)。2)各地域の血友病医療で不足しているものが何かあるか。3)定期補充療法についてどう考えて取り組むべきと思うか。4)C型肝炎の治療を普及させるにはどうしたら良いと思うか。何が治療を滞らせる原因か(通院時間、自己注射など)。5)全国規模で、医療側と患者側との連絡体制を密接にする方法はどうしたらよいか(医療側の連絡網、患者側の連絡網、両者合同の連絡網の整備の可能性など)。6)世界の患者会との連携についてどう考えるか。7)小児慢性特定疾患療養費への今後の対応について。8)その他の希望。以上のテーマについて、活発な議論が行われた。
午後3時55分に閉会挨拶を奈良県立医科大学の吉岡章教授が行い、午後4時に閉会した。
詳細は議事録に記載するが、この懇談会のように直接話し合う機会は大切であるとする認識は、患者さんの間でも医療者の間でも同じであり、今後とも継続して更に緊密な関係作りをすることを望むとの方向性で意見が一致した。
1. 血友病家庭療法の再評価
2. 血友病および類縁疾患における保険適応外の治療法の評価
血友病の在宅自己注射療法(家庭療法)は1983年に認可されて以来、全国に広く普及している。しかし、家庭療法の基準、教育項目、遵守事項、管理項目に関しては施設間での相違があり、患者の移動に伴う不都合が生じている。今回、血友病標準化検討部会では、家庭療法の標準化の推進、医療者側の管理基準などに重点を置いた新ガイドライン案を作成した。現在まで使用された各種のガイドラインやマニュアルと兵庫医科大学での自己注射の状況が報告され、患者により教育の指導者や内容にばらつきがあることや補充量が適切でない症例などが示された。新ガイドライン案では、従来からの家庭注射療法の目的、意義、方法、適応基準、認可、遵守事項が更改された。さらに新たな項目として、教育項目、記録表、継続・管理、教育の評価、実施医療機関のありかたに関する事項が提示され、継続にあたっては5年を目安に教育や治療方法の見直しが必要だとした。
インヒビター保有患者の止血治療はバイパス製剤の副作用や止血効果の不確実性の問題があり、永らく家庭療法の適応とはみなされなかった。一方で、出血症状を繰り返し、バイパス製剤の早期輸注効果のあるインヒビター症例などには家庭療法を導入するニーズが高まっていた。平成11年には、インヒビター保有患者のバイパス治療の家庭療法が、一般の家庭療法に16年遅れて事実上認められた。インヒビター保有患者の家庭療法の導入の際には、非インヒビター患者の家庭療法の基準や教育項目に加えて、インヒビターの基本的知識や止血治療の特殊性の理解が求められる。しかし、開始年齢や出血頻度・重症度、インヒビター力価などには自由度をもたせる必要があるとした。バイパス療法に用いられるプロプレックスST、ファイバ、ノボセブンの3製剤に関して、血友病標準化検討部会が検討中の家庭療法時のプロトコール案が提示された。また、止血効果を高める使い方の提案として、ノボセブンと抗線溶剤の併用やノボセブンとプロプレックスSTを少量同時投与する方法が紹介された。
医療上の様々な理由や必要性から、薬剤が本来の「効能・効果」の枠を超えて使用されることがある。これらの所謂、「適応外使用」は、1)適応や用法の追加、変更が望まれるもの、2)臨床試験を必要とするもの、3)学会で指針を出すべきもの、4)警鐘を鳴らすべきものに大きく分類されることが示された。血友病および類縁疾患において適応外使用されている製剤に関しては、今後、適応外使用に係わる医薬用医薬品の取り扱いについて定めた厚生省の指針(医薬審104号、平成11年)に沿って方向性を打ち出す必要がある。その中で学会が担うべき役割が提起された。専門部会から使用指針を作成して公表し、さらにその後国内での適応外使用の状況と成績を吸い上げることにより、前向きに使用指針の改定と安全性情報の更新が可能であるとした。
ファイバの「効能・効果」は、血液凝固第VIII又は第IX因子インヒビター力価が10ベセスダ単位(BU)以上の患者が対象とされている。この設定には科学的根拠はなく海外の添付文書にはインヒビター力価による使用基準は設けられていない。国内で10BU未満のインヒビター症例にファイバが有効に使用された13症例が紹介され、「効能・効果」の10BUの使用制限は合理的ではない旨が提示された。また、ファイバの使用にあたっては、「頭蓋内出血等緊急の場合又は、他の療法が奏効しないとき」「原則として連続3日以内投与する」などの保険局長通知もあり、臨床使用上の制限として問題になっていることも挙げられた。今後メーカーとして、10BU未満のインヒビター症例の適応について厚生労働省と相談するとした。プロプレックスSTはプロトロンビン複合体製剤であるが、「効能・効果」は血友病Bの補充療法及び第VIII因子インヒビター保有患者のみとなっている。国内では、第VII因子や第X因子の欠乏症・低下症の治療薬として承認された薬剤はないが、「血液製剤の使用指針(厚生省医薬安全局長通知、平成11年)」には、濃縮プロトロンビン複合体製剤を用いる旨の記載があるために矛盾が生じている。国内では、プロプレックスSTが第VII因子欠損症に実際に適応外使用され、11症例の有効例が報告されている。米国では同製剤が第VII因子欠乏症の治療製剤として認められていることも紹介され、今後、学会等から使用指針などによる指導を希望するとした。
ノボセブンの「効能・効果」は、”インヒビターを保有する第VIII因子欠乏症(血友病A)または第IX因子欠乏症(血友病B)の出血抑制”であるが、この表現に後天性血友病が含まれるか否かが問題点として提起された。第VIII因子インヒビターは非血友病者にも自然発生する場合があり、後天性血友病と呼ばれる。海外でノボセブンが後天性血友病患者の止血治療に有効に用いられた成績が示された。またEUでは、申請審査過程で当局からの指導に基づき、ノボセブンの適応に「後天性血友病」と具体的に明記された経緯がある。本邦ではノボセブンが後天性血友病患者に処方できるかについて、「効能・効果」に括弧で示される(血友病A)(血友病B)という表現のために解釈が不明瞭になっている。また、インヒビター製剤の「効能・効果」の表現は、製剤により大きく異なっているが、特に科学的な根拠はないと考えられることから、これらを整合性のある妥当な表現とするよう学会での検討が要望された。一方、市販後調査の登録症例と学会報告より、ノボセブンが「適応外」で使用された各種の出血性疾患が報告された。しかし、血小板異常症や第VII因子欠乏症は非常に稀な疾患であり、各々の適応症に対して臨床試験を実施していくことは現実的ではない。現時点では、これらの症例にノボセブンを使用した場合には、保険審査の査定も問題になる。このため、学会で臨床試験に代わる方法で臨床的な有効性や安全性を評価し、治療指針が打ち出されることを希望するとした。
本検討部会の設置の経緯活動目的、活動方法が示された。 ワーキンググループとして、血友病ITI小委員会(委員長:奈良県立医科大学小児科の吉岡章教授) と血友病診療連携(幹事:東京医科大学臨床検査医学の福武勝幸教授)が挙げられた。今後の血友病医療においては、 医療者、製薬企業、患者、行政の4者間のオープンでバランスのとれた相互関係の構築が重要であるとした。
厚生労働省の資料などから4社の第VIII因子製剤について供給状況の推移と推定在庫量が示された。 コージネイトの不足分をどの製剤へ振り分けるかによって平成14年以降の各社の在庫量がどう変化 するかについての推測が示された。コージネイトの在庫が完全に無くなった場合の毎月200万単位の 不足は全体の使用量の10%に相当し、現状の予測ではコンファクトFに切り替えていくことができれば 最も市場への影響が少ない方法であるとした。また現状の第VIII因子製剤の消費を続けると製剤の 備蓄量が減少するため使用量は削減していく必要性があることが述べられた。
血友病Aに発生するインヒビターの概要の説明があり、免疫寛容導入療法の各種プロトコールと 近年の国際登録研究の成績が示された。現在進められている国際無作為コントロール研究のプロトコールと、 日本における研究への参加方法が紹介された。
予防投与の定義とスエーデンのグループの予防投与の方法と成績が示された。 聖マリアンナ医科大学での一次予防投与の導入と成績が紹介された。 また、血友病予防投与に関する多施設のアンケート調査結果から、 二次予防投与は50%以上の施設で導入されているが、一次予防投与は他施設では行われていないことが示された。 コージネイトの供給不足問題以降に予防投与の減量や中止が行われた施設は2施設のみであった。 一次予防投与の導入に関しては、今後本邦においても検討する必要性が述べられた。
適正投与量を考える際の要素として製剤の供給量、患者のQOL、投与量・止血レベルの経験的および科学的根拠などが挙げられた。奈良県立医大の補充療法の指針や過去の自験例を示しながら、必要時の補充療法、予防投与、外科手術時の止血療法に関してそれぞれ製剤使用量の適正化に関する方策の提言がなされた。
1. コンファクトFは現在の供給量の2倍の出荷が可能である。コージネイトの供給不足分をこれ以上クロスエイトMで賄うのは限界が予想されるため、今後、製剤を変更するときはコンファクトFの使用を考慮する。その旨は、各社のMR、血液製剤調査機構や血栓止血学会のホームページを通して標準化検討部会のコンセンサスとして全国の血友病診療施設に伝える
2. コンファクトFの室温安定性や血液型抗体の混入の有無に関しては、化血研から情報を得る(後日得られた情報→ , )
3. 製剤の適正使用に関連して、家庭療法の再評価と規準を作成する
4. ITIに関しては、国際研究の患者登録は開始する。現在、低用量でITIを始めている症例はなるべく継続する。高用量で行っている症例は定期的な評価を行ったうえで、不成功の可能性が高ければ中止を検討する
5. 一次予防投与療法は、将来的にその適応や導入方法を検討していく
6. 血友病患者に対するデスモプレシンの点鼻薬の承認、バイパス療法製剤の用法・用量に関する問題、第VIII因子製剤の薬価や実力価表示の問題などは、血友病標準化検討部会と製薬企業が協力して厚労省に上申していく
2001年3月16日付のバイエル薬品からの情報によると、第V・因子製剤のコージネートは、米国の工場からの出荷が一時停止されています。日本全体の第V・因子製剤供給に関する混乱を防ぐために、主な血友病診療施設の有志がE-mailで問題を討議し、「血友病の患者様へ」と「治療担当医師の皆様へ」の文書を公開しました。
下記のインターネットホームページ
http://csws.tokyo-med.ac.jp/csws/hemophilia/ をご参照下さい。
文書の発信元の血友病治療担当医師有志には、本学会の血友病標準化検討委員が含まれています。
これまで血友病家庭療法の教育には、東京医科大学臨床検査医学科および荻窪病院小児科が中心となって編集し、バクスター株式会社1)あるいは日本赤十字社2)が発行するホームインフュージョン教育マニュアル(図1)が広く使用されてきた。また、1993年には厚生省健康政策局と日本医師会が監修し、在宅自己注射法マニュアル等作成委員会が編集した在宅自己注射(血友病・下垂体小人症)ガイドライン3)とマニュアル4)が発行されている(図2)。これらのマニュアルやガイドラインは、いずれも現在入手が困難となっており、また内容や体裁も古くなり改訂が望まれている。
家庭療法が開始された1983年頃には、図3に示すような血友病教育プログラム、患者・家族テキストと、そのテキストに応じた自己評価問題とその解答5)をセットにした冊子も発行されていた。これは米国のNational Hemophilia Foundation(NHF)とThe World Federation of Hemophilia(WFH)のプログラムを参考に荻窪病院小児科で作成された。内容はかなり詳細で、当時慎重に家庭療法が導入されていたことが伺える。この冊子は現在入手が不可能であるが、広島県ヘモフィリア友の会のウェブサイト(http://www.aaieba.gr.jp/)には、血友病に関する様々な基礎知識あるいは補充療法・家庭療法に関する知識を問う問題とその解答が掲載されている。
現在、家庭療法を行っている患者やその家族の中には、初期の教育を医師や看護師から受けていない例や、血友病の病態、臨床症状とその対応、遺伝形式、自己注射の手技等、教育内容の一部しか教育されていない例が見受けられる。このため、製剤の注射量が極端に少ない例、逆に多過ぎる例、出血部位や出血の程度に関わらず注射量や注射回数が固定されている例、出血してから輸注するまでの時間が長い例、必要な連続注射を行っていない例など、家庭療法の実際が不適切と思われる事例がある。中には家庭療法を管理していく上で必要な輸注記録をつける習慣すらない例も少なくない。
一方、医療施設側の家庭療法上の管理や記録の保存が認可当初に比較して、不十分になっている可能性も指摘されている。家庭療法は一度開始すると、患者の生涯に渡り継続することが原則になる。その間には患者の成長や身体的ならびに環境の変化が予測される。また住居の移動に伴い医療施設を移る可能性もある。血友病医療における医療者と患者の関係は長期に渡り、時に両者間には、ある種の「馴れ」が生まれることもある。その結果、ともすると医療者は、患者の家庭療法を客観的に評価し記録することを省略しがちになる。長期に渡る、定期的な教育水準や注射技術の確認や再評価に関しては、当初は十分な配慮がなされておらず、基準なども設けられていなかった。
製剤の安全性や取り扱い上の利便性が向上したことも相まって、幼少時から本療法を開始した若年層の血友病患者には、血友病性関節症等の慢性障害は着実に少なくなっている。しかしながら、現在の家庭療法は、以上のように不確実、不十分な問題点を抱えたまま行われているのも事実である。
表1から表9に示す基本ガイドラインは、これまで使われてきたマニュアルやガイドラインの内容を大きく刷新するものではない。また、各施設で用いてられているマニュアルや教育資料、輸注記録表を統一させることを目的とはしていない(表1)。
むしろ、最小限必要な項目を列挙することで、標準化を進めていくことを第一義的に構成した。血友病診療施設においては、本ガイドラインの各項目を確認し、用いられている資料に適宜追加補足されることを期待したい。
凝固因子補充療法の方法(表2)は、出血時の補充療法、定期補充療法、予備的補充療法に大別して記載した。現在わが国における家庭療法は、出血時の補充療法や予備的補充療法が主体である。今後は、一次定期注射も含めた効果的な定期補充療法が普及し、血友病患者が生涯にわたり合併症の危険から解放されることが望ましい。日本小児血液学会の血友病委員会(委員長:吉岡 章、奈良県立医科大学小児科教授)では、定期補充療法に関する前方視的研究の計画を進めている(担当:瀧 正志、聖マリアンナ医科大学小児科助教授)。今後は日本血栓止血学会の当検討部会が相互協力し、定期補充療法の普及に努めたい。
家庭療法の教育(表5)に関しては、各施設で各種の資料や冊子が用いられていると想像される。本項目に関しては、教育内容の詳細はあえて省き、必要項目のキーワードの列挙に留めた。詳細に関しては、ある程度の自由度をもって、各施設で適宜既存の資料などを用いて教育されることを期待するものである。基本的知識は多項目に渡るため、患者の年齢によっては、すべての理解を求めるのは難しいこともある。また、2.の「注射の実技と製剤の管理」を習得した上で、家庭療法をまず導入し、追って1.の「基本的知識」の教育を深めていくことも考えられる。そこで、基本的知識の中の必要最低限の項目をアンダーラインで示した。注射の実技と製剤の管理はすべて必須項目とした。
輸注記録表も施設ごとに様々な様式が用いられているが、本ガイドラインでは、記録表に記録すべき必要最低限の項目を列挙した(表7)。近年、各製剤の外箱には、ロット番号が示されたシールが3枚添付されている。輸注記録表のロット番号欄に書き写す代わりに、これらのシールを貼り付けることが可能である。新しい項目としては、処方された製剤量と家庭内の在庫量を記入する項目を設けた。これは既存の輸注記録表には、おそらく取り上げられることの少なかった項目である。患者や家族が、貴重な凝固因子製剤を自己管理する意識を高める上で必要であり、また、医療者側の薬剤の出納記録としても重要になる。
家庭療法の継続と管理(表8)は新規の事項である。長い年月に渡って、家庭療法の質を維持するためには、医療者側が主体的に管理基準を遵守し、評価していく必要がある。患者の受診頻度は、一般的なものとして、「最低3か月毎」(表4)としたが、個々の患者の状況や実績に応じて適宜定められるものであろう。輸注記録表は定期受診時などに患者が持参する。そこで主治医は、個々の記録を遡って患者と共に確認し、評価やコメントを加えたうえで、その記録を患者と医師でそれぞれ保存することが望ましい。製剤の処方量は、製剤使用頻度、来院頻度、冷蔵庫の保存スペースなどにより、患者毎にある程度定まってくる。1ヶ月分の平均使用量を基準とし、多くとも定期受診の間に使用する量を限度とする。製剤の出納に関して、出庫量はカルテに記載した処方量で把握はできるが、家庭での在庫量はわかりにくい。したがって、出納管理は患者の輸注記録表などで行うことが望ましい。
家庭療法の長期継続管理(表8)に関しては、5年を目安に、あるいは患者の発達段階に応じて見直す機会を設けることが望ましい。小学校入学時や中学校入学時など、あるいは父母などによる注射から自己注射に移行する時期などが見直す機会としては相応しい。それらの際には、改めて、適応基準(表3)、遵守事項(表4)、知識や技術(表5)の確認を行う。問題点があれば十分に説明と指導を行い、時には再教育も必要になる。近年、重症型の血友病の場合は家庭療法の導入を低年齢から開始することがある。この場合、家庭注射の教育は患者本人よりも母親あるいは父親を対象に行われることになる。患者の成長にともない、家庭療法は親から患者本人へと受け継がれていくことになるが、この時期に医療者による本人への教育がなされない場合は、教育項目の一部が抜け落ちる可能性がある。家庭療法の定期的な更新が必要な理由はここにもあり、その時の患者の年齢、理解度に合わせた教育が必要とされる。
最後に、家庭療法を実施する医療機関のありかたにつき、大枠を示した(表9)。家庭療法実施医療機関としては、血友病患者を積極的に診療している医師と看護師がそれぞれ1名以上常勤しており、整形外科、リハビリテーション科、口腔外科を含む他科との医療連携により、血友病の合併症を包括的に診療できる体制の整った、入院施設のある総合病院(基幹病院)であることが望ましい。基幹病院では凝固因子製剤を常備し、外来処方ができ、家庭療法に関する教育プログラムを含めた管理体制が整っていることが必要である。また、患者の心理的・社会的な相談や遺伝相談に対し、医療ソーシャルワーカーや医師が対応できる体制をもつことが望ましい。患者団体との良好な連携を維持することも求められる。
基幹病院で教育を受けて家庭療法が導入された患者は、基本的にその病院で治療管理を継続することになる。しかし、自宅が基幹病院の遠隔地にある場合などには、協力的な近医(協力医)に家庭療法の一部の機能を委託することがある。また、血友病の患者を初めに診断し治療を継続している診療所や病院(二次医療施設)では、家庭療法を導入する体制が整備されていない場合には、いったん基幹病院に教育などを委任し、その後の日常管理を二次医療施設で継続することもできる。これらの患者が、休日や夜間に診療が必要な際や緊急時には、直接基幹病院を受診するか、その担当医の指示を受けられる体制にしておくことが肝要である。また協力医や二次医療施設の担当医も、血友病診療上の疑問点や問題が生じた際には、基幹病院に遅滞なく連絡・相談できる関係を維持する必要がある。
インヒビター保有患者の止血管理は、未だすべての場合に対応できる方法はなく、血友病医療のなかでも難題とされる。家庭療法が認められた1983年の時点では、即時性の副作用が比較的少なく、用量依存性の止血効果が期待できる補充療法を、患者と家族に委嘱することが目的であった。インヒビター保有患者のバイパス療法に関しては、即時型のアレルギー反応や血栓性の副作用の可能性があり、止血効果の確実性に問題があったために、多くの施設では家庭療法には当面そぐわないと考えていた。ところが、ある種のバイパス製剤の止血効果が安定して期待できるインヒビター保有患者の中では、バイパス製剤の家庭療法の施行を求める声が高まって来た。それらを受けて、1996年にはバイパス製剤を用いた家庭療法も認可され、インヒビター保有患者の止血管理も現在では病院を離れて行うことのできる環境にある。
現在わが国で使用可能なバイパス製剤は、プロプレックスST、ファイバ、オートプレックス、ノボセブンの4製剤である。これらの家庭療法導入に際しては、前述した家庭療法の基本ガイドラインを遵守した上で、上記の潜在的な問題点を十分に配慮する必要がある。表10には、すべてのバイパス製剤に共通する注意事項を掲げた。家庭でのバイパス療法では、止血効果が不十分であった時の判断と、基幹病院への連絡体制はさらに重要になる。止血効果を認めないまま、漫然とバイパス製剤を反復注射することは、出血症状が増悪する上、副作用を惹起する可能性があり、高価な製剤の空費を避けるうえでも好ましくない。各製剤の用法・用量を考慮した家庭療法での使用プロトコールを、表11から表14に示した。基幹病院の担当医には、これらを基準にした上で、各インヒビター保有患者に合わせた注射法を考案することが望まれる。
表1.家庭療法の目的、意義
1. | 出血時の早期補充療法あるいは定期補充療法を医療施設以外で効率よく行うことにより、出血の苦痛を予防・軽減させる |
2. | 出血による後遺症および慢性障害の発生を予防・軽減させる |
3. | 出血時に通院する際の身体的、時間的、経済的負担を減らす |
4. | 出血症状に伴う学校生活や社会生活の質の低下を軽減させる |
5. | 活動内容や行動範囲を広げ、社会適応をはかり、心身両面での自立を促す |
表2.凝固因子補充療法の方法(インヒビター保有症例を除く)
1. 出血時の補充療法: | |
I. | 軽度から中等度の出血に対して;可及的早期に止血をはかり、慢性障害(関節症、偽腫瘍など)の発生を回避する |
II. | 重度の出血(頭蓋内出血、消化管出血、外傷)に対して;早期に補充療法を開始することで生命予後を改善する |
2. 予備的補充療法:運動会や遠足などの身体活動の事前に凝固因子製剤を注射し、出血を回避する方法 | |
3. 定期補充療法: | |
I. | 一次定期注射;重症型の血友病患者を対象に2歳未満あるいは最初の関節出血後(2回目の関節出血以前)に定期的(例えば週に2あるいは3回)に凝固因子製剤の注射を開始し、これを長期間行うことにより関節症を未然に防止しようとする方法 |
II. | 二次定期注射 |
a. | 2歳以上あるいは2回以上関節出血を来した後から開始し、定期的(例えば週に2あるいは3回)に凝固因子製剤の注射を長期間行う方法 |
b. | 頻回の出血あるいは慢性滑膜炎などに対し、定期的(例えば週に2あるいは3回)に凝固因子製剤の注射を短期間(数週間から数年)行う方法 |
表3.家庭療法の適応基準
1. | 本療法を患者ならびに家族が望んでいる |
2. | 本療法の目的、意義、遵守事項を患者と家族が十分に理解している |
3. | 本療法が患者の身体的、精神的苦痛を軽減し、生活の質を高めることが予想される |
4. | 医師・医療スタッフと患者や家族との間に安定した信頼関係が築かれている |
5. | 患者や家族が心理的に安定している 6. 患者は当該製剤による重篤な副作用の既往がない |
表4.患者や家族の遵守事項
1. | 定期的(最低3か月毎)に受診すること |
2. | 家庭治療に関して主治医の評価と指導を受けること |
3. | 治療経過や製剤の家庭内在庫状況を記録し、病院に定期的に提出すること |
4. | 製剤は規定の方法で管理し、奨められた輸注量、輸注方法を守ること |
5. | 製剤は、兄弟を含む患者の間で流用しないこと |
6. | 針や注射器などの医療廃棄物を適切に処理すること |
7. | 出血症状が強いときや判断に迷うときには主治医に連絡すること |
表5.家庭療法の教育項目(下線のは必須項目)
1. 基本的知識 | |
I. | 血液凝固と血友病に関する基本事項 |
a. | 止血の仕組みの基本;一次止血、二次止血、血管内皮細胞、血小板、凝固因子 |
b. | 血友病の病態;第VIII因子、第IX因子、APTT、X連鎖劣性遺伝、重症度、保因者、有病率 |
II. | 出血症状とその対応 |
a. | 急性出血部位と症状;関節内、筋肉内、腎・尿路、鼻、皮下、腸腰筋、消化管、外傷、頭蓋内、咽頭・喉頭・頸部 |
b. | 慢性障害と症状;関節症、偽腫瘍 |
III. | 補充療法 |
a. | 注射量と上昇期待値;半減期、回収率 |
b. | 注射方法と注射量;初回注射・連続注射、定期注射、出血部位と程度に対する補充量、副作用と対応 |
IV. | インヒビターとその治療 |
a. | インヒビターの基本;発生率と有病率、ベセスダ単位、ハイレスポンダー・ローレスポンダー、免疫寛容療法、バイパス止血療法、中和療法 |
b. | バイパス止血療法の実際(インヒビター保有患者においては必須) |
2. 注射の実技と製剤の管理 | |
I. | 重篤出血時の対応方法 |
II. | 副作用出現時の対応方法 |
III. | 製剤の保管、管理方法 |
IV. | 製剤の溶解方法 |
V. | 静脈注射の実際 |
VI. | 効果の判定と繰り返し注射の方法 |
VII. | 止血管理の記録方法 |
VIII. | 廃棄物の取り扱い方法 |
IX. | 主治医あるいは病院との連絡方法 |
X. | 製剤の一回処方量 |
XI. | 家庭内での製剤の適正な在庫量 |
XII. | 定期受診の必要性 |
表6.家庭療法の認可
1. | 適応規準(表3)を満たしている |
2. | 各施設で規定の教育プログラムを受け、教育目標(表5)を達成している |
3. | 担当医師が適当と認めている |
4. | 遵守事項(表4)を守ることに同意できる |
表7.輸注記録表の記載項目
1. | 出血エピソード |
2. | 輸注までの時間 |
3. | 製剤名、輸注量、製剤のロット番号(シール貼付) |
4. | 輸注毎および全体の止血の評価 |
5. | 副作用 |
6. | 併用薬 |
7. | 製剤の処方量と在庫量(出納表) |
8. | 気付いたことやメモ |
9. | 主治医への質問事項 |
10. | 主治医からのコメント、指導 |
表8.家庭療法の継続・管理:(以下の項目を定期的に確認してカルテに記載する)
1. | 定められた期間内に定期的に受診している |
2. | 輸注記録表の回収、評価、保存がなされている |
3. | 製剤の処方頻度、一回処方量が適切である |
4. | 製剤の出納管理が適切になされている |
5. | 家庭療法の更新:5年毎あるいは患者の発達段階(小学校入学時、中学校入学時など、あるいは父母などによる注射から自己注射に移行する場合)に応じて随時、適応規準・遵守事項・教育規準を確認し、必要に応じた再教育を行う |
表9. 家庭療法実施医療機関のありかた
1. 血友病包括医療体制が整備されている(基幹病院) | |
a. | 血友病患者を積極的に診療している医師、看護師がそれぞれ1名以上常勤している |
b. | 家庭療法の教育プログラムをもち、管理体制が整っている |
c. | 各種の凝固因子製剤が院内薬剤部に常備され、外来処方が可能 |
d. | 各科(内科、小児科、整形外科、リハビリテーション科、歯科、脳外科など)の医療連携体制があり、血友病の合併症にも対応できる |
e. | 入院施設がある |
f. | 心理・社会的な相談に対応できる |
g. | 患者団体と連携できる |
h. | 遺伝相談に応じることができる |
i. | 患者や他の医療施設からの連絡の受け入れ態勢が確立していること:休日・夜間の連絡方法、主治医 |
2. 上記の体制が未整備な医療機関においては、基幹病院との医療連携を維持している | |
3. 血友病医療の最新情報を入手し実践することに努めている |
表10.バイパス製剤による家庭療法に共通する留意事項
1. | 当該製剤による重篤な即時性の副作用の既往がないこと |
2. | 原則として軽度あるいは中等度の出血を対象とする |
3. | 出血症状が出てから可及的早期(2時間以内が望ましい)に注射を開始する |
4. | 重度の出血(頭蓋内出血、消化管出血、外傷など)に対しては早期に注射を行った上で、基幹病院に連絡し指示を受ける |
表11.プロプレックスSTによる家庭療法のプロトコール
1. | 1回注射量 :50 ~100 単位/kg |
2. | 注射間隔 :最低6時間 |
3. | 注射終了:2回注射後にも止血が不十分な時には病院に連絡する |
4. | 自己評価のポイント:注射6時間後の止血の評価、注射終了24時間後の止血の評価 |
表12.ファイバによる家庭療法のプロトコール
1. | 1回注射量 :50 ~100 単位/kg |
2. | 1日最大注射量 :200単位/kgまで |
3. | 注射間隔 :最低8時間 |
4. | 注射終了:2回注射後にも止血が不十分な時には病院に連絡する |
5. | 自己評価のポイント:注射8時間後の止血の評価、注射終了24時間後の止血の評価 |
表13.オートプレックスによる家庭療法のプロトコール
1. | 1回注射量 :25 ~100 単位/kg |
2. | 注射間隔 :最低6時間 |
3. | 注射終了:2回注射後にも止血が不十分な時には病院に連絡する |
4. | 自己評価のポイント:注射6時間後の止血の評価、注射終了24時間後の止血の評価 |
表14.ノボセブンによる家庭療法のプロトコール
1. | 注射量 :90 ~120 mg/kg |
2. | 注射間隔:2~3時間ごと |
3. | 注射回数:1回の出血につき原則として3回まで |
4. | 注射終了:止血効果がみられたら、さらに1回追加注射をする。2回連続して止血効果が感じられないときや3回注射しても止血が不十分な時にはいったん中止し、病院に連絡する。 |
5. | 自己評価のポイント:注射2~3時間ごとの止血の評価、注射終了24時間後の止血の評価 |
現在わが国で血友病患者に使用されている凝固因子製剤は、遺伝子組換え製剤のみならず血漿由来製剤も、詳細なスクリーニング検査などに加えてウイルス不活化・除去処理が行われており、B型肝炎の感染性はないと考えられています。輸血に関しては、献血者のB型肝炎などのスクリーニング検査は高感度の核酸増幅試験(NAT)が行われており、血液製剤(赤血球濃厚液、新鮮凍結血漿、濃厚血小板)の輸血によるB型肝炎の感染は非常に少なくなっています。しかし、輸血用血液製剤では現在ウイルス不活化・除去処理がなされていないために、少数ながら輸血後B型肝炎の発症が報告されています。血友病患者は重篤な出血傾向を有するために輸血を必要とする可能性は健常者よりも高いと考えられます。したがって、確定診断後の血友病患者およびB型肝炎未感染でB型肝炎ワクチン未接種の血友病患者は、なるべく早い時期にB型肝炎ワクチンを接種しておくことが望ましいと考えます。
なお、血友病患者に対するB型肝炎ワクチン接種は保険適応注)となっています。B型肝炎の予防のための用法・用量は、10歳以上:1回0.5 mlを4週間隔で2回、更に、20-24週後1回0.5 mlを皮下注、10歳未満:0.25 mlを同様の投与間隔で皮下注、3回目の数週後にはHBS抗体の陽性化を確認することとなっています。
注)各B型肝炎ワクチンの添付文書の【保険給付上の注意】欄に以下の記載がある。
1.「B型肝炎の予防」の目的で使用した場合は、保険給付の対象とはなりません。ただし、血友病患者に「B型肝炎の予防」の目的で使用した場合は、保険給付の対象となります。(平成2年3月30日付事務連絡)
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